ひとり句会:春(2009)

二日だけ咲いては落ちて花辛夷 ふつかだけさいてはおちてはなこぶし 【改】二日咲き二秒で落ちて花辛夷 これも違うな。 さくら咲く舳先は北へ隅田川 さくらさくへさきはきたへすみだがわ 政府観光協会! 春暑し老船頭の首根っ子 はるあつしろうせんどうのく…

ひとり句会:春(2009)

東京に風立つころや蜆買う とうきょうにかぜたつころやしじみかう 兼題は「東京」。大層ムズカシイ。 鼻紙に包まるる東京花粉症 はなかみにくるまるるとうきょうかふんしょう ゴメンなさいね、他人事で。 背のびして脇腹かゆし其角の忌 せのびしてわきばらか…

ひとり句会:春(2009)

犬が寝て人も寝ており春彼岸 いぬがねてひともねておりはるひがん ひらひらとやわらかく咲き豆の花 ひらひらとやわらかくさきまめのはな 薄くてひらひらと咲くスイートピー、切り花は案外長もちするのよ。 オオイヌノフグリ可愛いや恋すれば オオイヌノフグ…

ひとり句会:春(2009)

脱ぎ捨てしセーターに似て猫日和 ぬぎすてしセーターににてねこびより だり〜ん、と寝てますね、猫は。 春寒やもう少しだけ猫を借る はるざむやもうすこしだけねこをかる 三寒四温、もう少しの辛抱。 影になり日向に落ちて猫の恋 かげになりひなたにおちてね…

ひとり句会:春(2009)

接吻をせよと言う名の菫かな くちづけをせよというなのすみれかな 三色すみれを「Kiss Me Quick」と言うそうな……くちびる突き出して「んー」ってしてる顔。 バレンタインおとこの色目清々し バレンタインおとこのいろめすがしがし 色目が清々しいとは……。 「…

ひとり句会:春(2009)

おかげさまで「ひとり句会」も2巡目です。いつもハイクにて☆をつけていただいてるみなさま、ありがとうございます。 朝寝する皺うつくしき寝顔かな あさねするしわうつくしきねがおかな 真結びの朝寝をほぐす珈琲香 まむすびのあさねをほぐすコーヒーか さす…

ひとり句会:冬

友来たり鍋より溢る冬菜かな ともきたりなべよりあふるふゆなかな 下手だ(笑)。もうちょっと何とかならんものか。 夜更けては街白くなり寒の雨 よふけてはまちしろくなりかんのあめ 浮気句会にて不調の1句名乗り。 散りやまぬ山茶花人も斯くの如 ちりやま…

ひとり句会:冬

艢綱を解けば男女に冬の波 ともづなをとけばだんじょにふゆのなみ モノクロ艶歌の世界。 昔男ありけり止まぬ咳をして むかしおとこありけりやまぬせきをして とっとと龍角散を飲むがいいです。 寝酒してからは無言で西東 ねざけしてからはむごんでにしひがし…

ひとり句会:冬

このごろは豆喰い切れず鬼やらい このごろはまめくいきれずおにやらい さすがにねぇ、喰えたもんじゃないです。○0粒も。 焚火囲いあちらとこちら二人称 たきびかこいあちらとこちらににんしょう 「焚火して呼びあう声や二人称」改メ。 かじかめる指折り数え…

ひとり句会:冬

風花というプレゼントあり睦月 かざばなというプレゼントありむつき 昨日のあられもない沈みっぷりから一転。 新雪にブーツ半分ほど埋まり しんせつにブーツはんぶんほどうまり 草色のコート拳を解かぬひと くさいろのコートこぶしをとかぬひと 半処女の胸の…

ひとり句会:冬

切り出せぬ話は胸に炭熾る きりだせぬはなしはむねにすみいこる 寒雷や寝て覚めて寝てまだ遠し かんらいやねてさめてねてまだとおし ひとたびに死を選ぶものあり寒鴉 ひとたびにしをえらぶものありかんがらす どうしようもない閉塞感……でも、ホントにダメな…

ひとり句会:冬

真夜中のコーヒー苦し冬の雨 まよなかのコーヒーにがしふゆのあめ 眠れないので。 友達と呼ぶあいまいさ時雨くる ともだちとよぶあいまいさしぐれくる 身のほどを知らぬ恋かも寒椿 みのほどをしらぬこいかもかんつばき セーターを目を閉じ抜ける暗夜かな セ…

ひとり句会:新年

誰が作りし雑煮あたためており夜半 たがつくりしぞうにあたためておりやはん 蕎麦と雑煮は関東風が好きです。 黙々と酒酌み交す五日かな もくもくとさけくみかわすいつかかな めでたさもそろそろ飽きがきて。 くちびるはヴァニラの匂い初寝覚 くちびるはヴァ…

ひとり句会:新年

煮ても焼いても食えぬ我が身ぞ初湯して にてもやいてもくえぬわがみぞはつゆして 本年もよろしくお願いいたします。 別れては御慶の声も憎きかな わかれてはぎょけいのこえもにくきかな たとえ別れても 大袈裟に咳してみたりひめはじめ おおげさにせきしてみ…

ひとり句会:冬

柚子湯して肩抱いているひとり風呂 ゆずゆしてかただいているひとりぶろ 夜冴えてロルカ読む手の冷えに冷え よるさえてロルカよむてのひえにひえ またぞろ夜乳房の林檎余らせて またぞろよるちぶさのりんごあまらせて てっちりを喰う痴話喧嘩果てて後 てっち…

ひとり句会:冬

ショール巻く昭和乙女の足早し ショールまくしょうわおとめのあしはやし 湯ざめしつ淡々悼句詠みにけり ゆざめしつたんたんとうくよみにけり あれ主の背中に似たり年の市 あれしゅうのせなかににたりとしのいち 片恋と片手袋の待ち合わせ かたこいとかたてぶ…

ひとり句会:冬

雪もよい隠れ遊びはさびしかり ゆきもよいかくれあそびはさびしかり 大人の遊びは、みなどこか寂しいもので。 木枯や手を繋ぐのも駄目といい こがらしやてをつなぐのもだめといい 寝がえりの足冷えており雪女 ねがえりのあしひえておりゆきおんな 「雪女」が…

ひとり句会:冬

短日や籠目籠目の籠のなか たんじつやかごめかごめのかごのなか 浮気句会にて。 麦蒔やどこからか風どこへ吹き むぎまきやどこからかかぜどこにふき 浮気句会にて。 風立ちて今日東では三の酉 かぜたちてきょうひがしではさんのとり 雑炊食う恋人の部屋東向…

ひとり句会:冬

おしなべて寝酒となりしヌーヴォかな おしなべてねざけになりしヌーヴォかな 短日や埠頭の犬の巻き尾かな たんじつやふとうのいぬのまきおかな 湯気の立つ散歩帰りや犬の尻 ゆげのたつさんぽがえりやいぬのしり 岡惚れも三年目なり酉の市 おかぼれもさんねん…

ひとり句会:冬

白橋やいざ手を切らん羽田まで はっきょうやいざてをきらん羽田まで 「切る」のがいちばんの思いやりってこともあるのです。 かぶら煮てひとりの夕餉つつましき かぶらにてひとりゆうげのつつましき 薄情な猫雲隠れ寒雀 はくじょうなねこくもがくれかんすず…

ひとり句会:冬

膝掛けは寸足らずなり独居かな ひざかけはすんたらずなりどっきょかな 浮気句会にて。 洗濯もの固く絞られ今朝の冬 せんたくものかたくしぼられけさのふゆ 浮気句会にて。 何もなきことさいわいや懐手 なにもなきことさいわいやふところで 懐手に弥蔵を決め…

ひとり句会:冬

雑踏や十一月の顔上げる ざっとうやじゅういちがつのかおあげる 浮気句会にて。思わぬ高得点でした。 いま東京上空欠けし冬の月 いまとうきょうじょうくうかけしふゆのつき 姪抱え猫を見にゆく一茶の忌 めいかかえねこをみにゆくいっさのき セーターに虫食い…

ひとり句会:秋

うかうかと大地の如く発熱す うかうかとだいちのごとくはつねつす 風邪に臥すラヂオ株式市況かな かぜにふすラヂオかぶしきしきょうかな あの抑揚のない不思議な物言いが、子供の頃の記憶にある。

ひとり句会:秋

竜胆や空そのまんま吸って咲け りんどうやそらそのまんますってさけ くちびるのはし切れかけて花芒 くちびるのはしきれかけてはなすすき 何度手を打つて殺めん秋の蚊や なんどてをうってあやめんあきのかや 末枯の川原に煙草を吸いに出る うらがれのかわらに…

ひとり句会:秋

あヽいう風に生きてみたしと秋桜 ああいうふうにいきてみたしとあきざくら 男の手に秋刀魚の脂光りあり おとこのてにさんまのあぶらひかりあり 男の手に抱かれなくとも温め酒 おとこのてにだかれなくともぬくめさけ 女のしょーもない意地です。 エノコログサ…

ひとり句会:秋

葡萄酒をこぼしても美し夕月夜 ぶどうしゅをこぼしてもうつくしゆうづきよ 竜胆やぶっきらぼうな恋をして りんどうやぶっきらぼうなこいをして 魔女として生きない箒で庭掃除 まじょとしていきないほうきでにわそうじ

ひとり句会:秋

竜胆の色濃くありて寂しかり りんどうのいろこくありてさびしかり 別れてのち初めて泣いて野分かな わかれてのちはじめてないてのわけかな 月曇り皿割り箸折り酒零し つきくもりさらわりはしおりさけこぼし 月高く狗尾草は踏みゆけり つきたかくえのころぐさ…

ひとり句会:秋

ケータイに指かけたまま寝待月 ケータイにゆびかけたままねまちづき

ひとり句会:秋

十六夜や腹丸く出し眠りけり いざよいやはらまるくだしねむりけり Dedicated to コレ(笑)。無防備っぷりがヨイ。 寝ころがる手に無花果この無防備さ ねころがるてにいちじくこのむぼうびさ 道草や掌中に柘榴ありがたき みちくさやしょちゅうにざくろありが…

ひとり句会:秋

稲妻を目蓋に見入る男女かな いなづまをまぶたにみいるだんじょかな 小鳥くる「今年はすこし寒そうね」 ことりくる「ことしはすこしさむそうね」 少しずつ遅れてくる朝もず鳴いて すこしずつおくれてくるあさもずないて 底紅や街いま雨に冷えゆきて そこべに…