ひとり句会:春(2009)

脱ぎ捨てしセーターに似て猫日和
ぬぎすてしセーターににてねこびより
だり〜ん、と寝てますね、猫は。


春寒やもう少しだけ猫を借る
はるざむやもうすこしだけねこをかる
三寒四温、もう少しの辛抱。


影になり日向に落ちて猫の恋
かげになりひなたにおちてねこのこい
子規にも「おそろしや石垣崩す猫の恋」というのがあります。


項垂るる猫の寝首や春小雨
うなだるるねこのねくびやはるこさめ
事終えてきた牝猫の首は、しっとり濡れているそうな。


猫抱いていれば美しい刻限に
ねこだいていればうつくしいこくげんに


薄氷を指で割る朝の遊びかな
うすらいをゆびでわるあさのあそびかな


ピンの頭に天使幾人春の夜
ピンのあたまにてんしいくにんはるのよる
元は「How Many Angels Can Sit On The Head Of A Pin ?」。


あまりりす汝が胸は誰が抱きとめる
あまりりすながむねはたがだきとめる
着地点ではなく、軌跡が美しいからこそ愛と言うもの。