2008-01-01から1年間の記事一覧

ひとり句会:冬

柚子湯して肩抱いているひとり風呂 ゆずゆしてかただいているひとりぶろ 夜冴えてロルカ読む手の冷えに冷え よるさえてロルカよむてのひえにひえ またぞろ夜乳房の林檎余らせて またぞろよるちぶさのりんごあまらせて てっちりを喰う痴話喧嘩果てて後 てっち…

ひとり句会:冬

ショール巻く昭和乙女の足早し ショールまくしょうわおとめのあしはやし 湯ざめしつ淡々悼句詠みにけり ゆざめしつたんたんとうくよみにけり あれ主の背中に似たり年の市 あれしゅうのせなかににたりとしのいち 片恋と片手袋の待ち合わせ かたこいとかたてぶ…

ひとり句会:冬

雪もよい隠れ遊びはさびしかり ゆきもよいかくれあそびはさびしかり 大人の遊びは、みなどこか寂しいもので。 木枯や手を繋ぐのも駄目といい こがらしやてをつなぐのもだめといい 寝がえりの足冷えており雪女 ねがえりのあしひえておりゆきおんな 「雪女」が…

ひとり句会:冬

短日や籠目籠目の籠のなか たんじつやかごめかごめのかごのなか 浮気句会にて。 麦蒔やどこからか風どこへ吹き むぎまきやどこからかかぜどこにふき 浮気句会にて。 風立ちて今日東では三の酉 かぜたちてきょうひがしではさんのとり 雑炊食う恋人の部屋東向…

ひとり句会:冬

おしなべて寝酒となりしヌーヴォかな おしなべてねざけになりしヌーヴォかな 短日や埠頭の犬の巻き尾かな たんじつやふとうのいぬのまきおかな 湯気の立つ散歩帰りや犬の尻 ゆげのたつさんぽがえりやいぬのしり 岡惚れも三年目なり酉の市 おかぼれもさんねん…

ひとり句会:冬

白橋やいざ手を切らん羽田まで はっきょうやいざてをきらん羽田まで 「切る」のがいちばんの思いやりってこともあるのです。 かぶら煮てひとりの夕餉つつましき かぶらにてひとりゆうげのつつましき 薄情な猫雲隠れ寒雀 はくじょうなねこくもがくれかんすず…

ひとり句会:冬

膝掛けは寸足らずなり独居かな ひざかけはすんたらずなりどっきょかな 浮気句会にて。 洗濯もの固く絞られ今朝の冬 せんたくものかたくしぼられけさのふゆ 浮気句会にて。 何もなきことさいわいや懐手 なにもなきことさいわいやふところで 懐手に弥蔵を決め…

ひとり句会:冬

雑踏や十一月の顔上げる ざっとうやじゅういちがつのかおあげる 浮気句会にて。思わぬ高得点でした。 いま東京上空欠けし冬の月 いまとうきょうじょうくうかけしふゆのつき 姪抱え猫を見にゆく一茶の忌 めいかかえねこをみにゆくいっさのき セーターに虫食い…

ひとり句会:秋

うかうかと大地の如く発熱す うかうかとだいちのごとくはつねつす 風邪に臥すラヂオ株式市況かな かぜにふすラヂオかぶしきしきょうかな あの抑揚のない不思議な物言いが、子供の頃の記憶にある。

ひとり句会:秋

竜胆や空そのまんま吸って咲け りんどうやそらそのまんますってさけ くちびるのはし切れかけて花芒 くちびるのはしきれかけてはなすすき 何度手を打つて殺めん秋の蚊や なんどてをうってあやめんあきのかや 末枯の川原に煙草を吸いに出る うらがれのかわらに…

ひとり句会:秋

あヽいう風に生きてみたしと秋桜 ああいうふうにいきてみたしとあきざくら 男の手に秋刀魚の脂光りあり おとこのてにさんまのあぶらひかりあり 男の手に抱かれなくとも温め酒 おとこのてにだかれなくともぬくめさけ 女のしょーもない意地です。 エノコログサ…

ひとり句会:秋

葡萄酒をこぼしても美し夕月夜 ぶどうしゅをこぼしてもうつくしゆうづきよ 竜胆やぶっきらぼうな恋をして りんどうやぶっきらぼうなこいをして 魔女として生きない箒で庭掃除 まじょとしていきないほうきでにわそうじ

ひとり句会:秋

竜胆の色濃くありて寂しかり りんどうのいろこくありてさびしかり 別れてのち初めて泣いて野分かな わかれてのちはじめてないてのわけかな 月曇り皿割り箸折り酒零し つきくもりさらわりはしおりさけこぼし 月高く狗尾草は踏みゆけり つきたかくえのころぐさ…

ひとり句会:秋

ケータイに指かけたまま寝待月 ケータイにゆびかけたままねまちづき

ひとり句会:秋

十六夜や腹丸く出し眠りけり いざよいやはらまるくだしねむりけり Dedicated to コレ(笑)。無防備っぷりがヨイ。 寝ころがる手に無花果この無防備さ ねころがるてにいちじくこのむぼうびさ 道草や掌中に柘榴ありがたき みちくさやしょちゅうにざくろありが…

ひとり句会:秋

稲妻を目蓋に見入る男女かな いなづまをまぶたにみいるだんじょかな 小鳥くる「今年はすこし寒そうね」 ことりくる「ことしはすこしさむそうね」 少しずつ遅れてくる朝もず鳴いて すこしずつおくれてくるあさもずないて 底紅や街いま雨に冷えゆきて そこべに…

ひとり句会:秋

暮れゆきて人ほの暗き曼珠沙華 くれゆきてひとほのぐらきまんじゅしゃか おさらばえ秋刀魚焼こうが焼くまいが おさらばえさんまやこうがやくまいが 何ごとも頃合いがあり秋刀魚焼く なにごともころあいがありさんまやく 歯応えのある梨えらぶ四十かな はごた…

ひとり句会:秋

指先に雨の匂いの鮎落ちて ゆびさきにあめのにおいのあゆおちて 颱風や我が胃の腑まで流しゆけ たいふうやわがいのふまでながしゆけ 別れくる秋の日傘の重みかな わかれくるあきのひがさのおもみかな 浮気句会にて。概ね高評、有難し。 彼はまたそれを見に行…

ひとり句会:秋

釣りにゆく男乙女座ばかりかな つりにゆくおとこおとめざばかりかな 「いい加減にしよし!」と怒ってる間はまだ愛があると思って下さい。

ひとり句会:秋

天の川すり抜けてゆく命かな あまのかわすりぬけてゆくいのちかな 寝返りの息長々し半月夜 ねがえりのいきながながしはんつきよ スカートの裾ひるがえし夏果つる スカートのすそひるがえしなつはつる 約束を破りひとりの良夜かな やくそくをやぶりひとりのり…

ひとり句会:秋

終わりなきこと皺の手で青蜜柑(祖父に) おわりなきことしわのてであおみかん 浮気句会にて。 歪みいる柘榴の中に悪魔いて ひずみいるざくろのなかにあくまいて 颱風の目に見つめらる窓辺にて たいふうのめにみつめらるまどべにて 浮気句会にて。 葡萄ひと…

ひとり句会:秋

八月はものみなピンでとめられて はちがつはものみなピンでとめられて 今日からは残暑と筆の進まざり きょうからはざんしょとふでのすすまざり 秋立てどいつも通りの鼻の汗 あきたてどいつもどおりのはなのあせ 青無花果ひとつ落として夜の雨 あおいちじくひ…

ひとり句会:夏

寝冷えするだるい根っこを傍らに ねびえするだるいねっこをかたわらに

ひとり句会:夏

幾億のいのち折り積みヒロシマ忌 いくおくのいのちおりつみヒロシマき

ひとり句会:夏

西日さすさっきからもの言わぬ首 にしびさすさっきからものいわぬくび 鮎ほども身を曲げられて焙られて あゆほどもみをまげられてあぶられて 糠に茄子うずめて夜はひとりで寝 ぬかになすうずめてよるはひとりでね (Mの流産を見舞う) 咲くほどに実は二つ三…

ひとり句会:夏

水盤に嵐は去りて蓮の花 すいばんにあらしはさりてはすのはな 冷や酒をぬるくしてまで句会かな ひやざけをぬるくしてまでくかいかな 酔い臥して金魚の如きものとなる よいふしてきんぎょのごときものとなる アップアップしながら。 不和ありて泡まで苦し黒麦…

ひとり句会:夏

谷中へと向かふ浮き足圓朝忌 やなかへとむかううきあしえんちょうき 吹く風に頬打たれたり鬼蜻蜓 ふくかぜにほおうたれたりおにやんま 白雨きて言葉の端の遠くなり はくうきてことばのはしのとおくなり 見上げれば新宿卒塔婆夕焼かな みあげれなしんじゅくそ…

ひとり句会:夏

愛憎が本気になるも大暑かな あいそうがほんきになるもたいしょかな 別れの日アカシア煙るように咲く わかれのひアカシアけむるよういさく 夏の恋波のかたちに居眠りぬ なつのこいないのかたちにいねむりぬ 四十路きて鰻弁当の重みかな よそじきてうなぎげん…

ひとり句会:夏

二十歳より酒あるうちの冷奴 はたちよりさけあるうちのひややっこ 其角に捧ぐ。 非日常を干すアロハシャツ翻る ひにちじょうをほすアロハシャツひるがえる ガス橋や浴衣娘の脛が往く ガスばしやゆかたむすめのすねがゆく こころあらず低く高くや夏の蝶 ここ…

ひとり句会:夏

昨日今日明日散り咲くや百日紅 きのうきょうあすちりさくやさるすべり ばら線に引ッ掛かっては夏の雲 ばらせんにひッかかっているなつのくも 痴話喧嘩誰かを名指し夜蝉鳴く ちわげんかだれをかなざしよぜみなく 初めての舌を吸われしラムネ瓶 はじめてのした…