2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

翼もて近づく月は冷ややかに つばさもてちかづくつきはひややかに 旅に出るなら、夜の飛行機。

肩越しに「あれは無花果」夫の聲 かたごしに「あれはいちじく」つまのこえ ああ、そうですか。

呼ばれたるこころもちして鉦叩 よばれたるこころもちしてかねたたき 無花果亭の秋……夜は虫の音、朝は鵙。もはやウルサイ。

秋の夜の漁師のトルソ風に起つ あきのよのりょうしのとるそかぜにたつ 小菅文雄氏の「湘南漁師」という言葉が耳から離れない。

沙魚食はぬ羽田の沖は今日も雨 はぜくわぬはねだのおきはきょうもあめ なぜ羽田の沙魚を食べないのかは安西均「東京湾の小さな話」による。

片耳にさやけし波の音去らず かたみみにさやけしなみのおとさらず S氏、外字骨腫切除手術の翌朝。バニラ風味の麻酔は却下されたと。

朝の夫神経衰弱鵙啼けや あさのつましんけいかびんもずなけや 低血圧で寝起きの機嫌が悪いのは、もはや罪です。 鵙啼けや独居に馴れず朝未だ来 もずなけやどっきょになれずあさまだき なぜ鵙の声はこちらの弱気にしみるのだろう。

巴旦杏の実落つるを待つて秋長し はたんきょうのみおつるをまつてあきながし 巴旦杏の実は熟しても自ら落実しない。待ってても無駄だよ。

石榴割く耐へ難きことするやうな ざくろさくたえがたきことするような それが耐え難いと感じたのは最初だけ(以下略)。 裂け落つる石榴よ午後のひだるさよ さけおつるざくろよごごのひだるさよ

へちま水朝の露とか溶けてをり へちますいあさのつゆとかとけてをり へちま水うすきみどりの朝化粧 へちますいうすきみどりのあさげしょう 五十男の独居にヘチマコロンのある風景。ひげ剃り後にですかそうですか。 秋高しHILLSよあれは墓標かな あきたかしひ…

独居わびし魂離るまで虫を聴く どっきょわびしたまさかるまでむしをきく