降誕祭前夜諸人こぞらずやせいたんさいぜんやもろびとこぞらずや Joy to the World ! The Lord is come !When ? Where ? in this World ?
雨に濡れてまでも美し浮寝鳥あめにぬれてまでもうつくしうきねどり Wet waterfowlIt is beautifully asleepin winter lake morning. 築五十年咳きこむ男ひとり哉ちくごじゅうねんせきこむおとこひとりかな 50 years old manLives in 50 years old house.He c…
無口なる猛禽類よ冬ざればむくちなるもうきんるいよふゆざれば Cold winteris silence raptor.
古暦裂くこれっきり惜しいことふるごよみさくこれっきりおしいこと Torn the calendarwith remaining regret. 恋じゃ恋じゃ郵便ポスト湯冷めしてこいじゃこいじゃゆうびんポストゆざめして Oh, my loveMy darlin'You just a cold pillar box. 風邪の耳、預け…
湯湯婆に押し出されての寝言かな ゆたんぽにおしだされてのねごとかな 「押し出されては」じゃなくて「押し出されての」ですね。間違い。わたしは、湯湯婆なんて使わないのだけど。 ふろふきや母の昭和の不確かさ ふろふきやははのしょうわのふたしかさ 我ら…
暮早し部屋まで待てぬ缶コーヒー くれはやしへやまでまてぬかんコーヒー 寒い寒い帰り道に缶コーヒーで暖をとる、の図。 手に何か持つ癖ありて師走かな てになにかもつくせありてしわすかな 何かと物入りな季節であります。逆に、何か持っていないと不安。 …
神妙に猫もどりきて神の留守 しんみょうにねこもどりきてかみのるす 猫ほどの背丈を巡る寝酒かな ねこほどのせたけをめぐるねざけかな
白菜の浅漬犬歯きゅっと鳴り はくさいのあさづけけんしきゅっとなり お互いにわざわざはぐれ酉の市 おやがいにわざわざはぐれとりのいち 美印に呼び止められしヌーヴォかな びじるしによびとめられしヌーヴォかな 美印=美人。
神無月老う身清らに長湯かな かんなどきおうみきよらにながゆかな 夜話果てて男女の寝息あるなしや やわはててだんじょのねいきあるなしや ちくわぶと大根を忘る東びときみなき夕餉さびしさびし ちくわぶとだいこをわするあずまびときみなきゆうげさびしさび…
ポケットの場所忘れたり今朝の冬 ポケットのばしょわすれたりけさのふゆ 暦の上では冬だけど、まだまだ暖かくて気分が出ませんな。 まるくなることもたいせつ、花柊 まるくなることもたいせつ、はなひいらぎ 抱瓶の底のぞき込む神無月 だちびんのそこのぞき…
沙魚つりに行くかと問われ沙魚つりに行かぬと答うわれ爪紅く はぜつりにいくかととわれはぜつりにいかぬとこたうわれつめあかく 「あの煙突、何焼く煙突?」問う子らと賛美歌三一二を唄う 「あのえんとつ、なにやくえんとつ?」とうこらとさんびかさんびゃく…
羽良上詠月に捧ぐ。 願わくば我が身も透けよ冬瓜煮る ねがわくばわがみもすけよとうがにる 十六夜や不治を肴にする馬鹿ども いざよいやふじをさかなにするばかども 予感して思案のさなか熟柿落つ よかんしてしあんのさなかずくしおつ 蚯蚓鳴く男の嗚咽やがて…
触れられたくなくてひとり寝鳳仙花 ふれられたくなくてひとりねほうせんか 秋刀魚焼く独学という人生を さんまやくどくがくというじんせいを 蜻蛉きて告げ口をする犬の耳 とんぼきてつげぐちをするいぬのみみ うたた寝に小言もありて志ん生忌 うたたねにこご…
影踏みて影濃きを知る月夜かな かげふみてかげこきをしるつきよかな 夏の涯、昼寝の夢も浅くなり なつのはて、ひるねのゆめもあさくなり 夏解けてFM「夜のシュミルソン」 なつとけてエフエム「よるのシュミルソン」 流れ星次次次の命かな ながれぼしつぎつぎ…
新魂に風、吹きあぐる鰯雲 あらたまにかぜ、ふきあぐるいわしぐも 改めて、ご冥福をお祈りいたします。
延着の各駅停車、秋暑し えんちゃくのかくえきていしゃ、あきあつし 老躯の弛みゆくかな鰯雲 ろうたいのゆるみゆくかないわしぐも 西瓜切る見透かされた様な気持ち すいかきるみすかされたようなきもち 青無花果四十一まだ初手とあり あおいちじくしょじゅう…
風ありてものみな黙る八月忌 かぜありてものみなだまるはちがつき 銀の矢をいま射るからね雲の峰 ぎんのやをいまいるからねくものみね 朝焼けも夕焼けも見せて浮気かな あさやけもゆやけもみせてうわきかな 早く帰ろうよ。 白雨きて今いる場所を忘れおり は…
夜濯の月に干したる産着かな よすすぎのつきにほしたるうぶぎかな 来月末に出産予定のMに。 ゆっくりと髪洗う故子は生さず ゆっくりとかみあらうゆえこはなさず 裸子はいないいないばぁに泣き疲れ はだかごはいないいないばぁになきつかれ 栗の花めんどうな…
青々と結界、蚊帳に寝るひとり あおあおとけっかい、かやにねるひとり 日雷耳疾と交わす枕かな ひかみなりじしつとかわすまくらかな 別離するひとと鰻を待ちわびぬ べつりするひととうなぎをまちわびぬ 寝るもひとり食べるもひとり夏の風邪 ねるもひとりたべ…
麦酒注ぐ右手左手また右手 ビールつぐみぎてひだりてまたみぎて カイゼルで泡吹いている麦酒かな カイゼルであわふいているばくしゅかな 昼寝覚め生きた心地のあやふやさ ひるねさめいきたここちのあやふやさ 【推敲】昼寝覚めぬ生きた心地のあやふやな 猫避…
雨止めばアイスコーヒー濃く煎れて あめやめばアイスコーヒーこくいれて 羅のした動かざる嘘ひとつ うすもののしたうごかざるうそひとつ ビール飲む孤独、くちびる赤くして ビールのむこどく、くちびるあかくして 晴れ晴れと銀座のビール泡高く はればれとぎ…
ひとり寝は胎児のかたち盗汗して ひとりねはたいじのかたちねあせして ひとり寝にぎしりと鳴らし籠枕 ひとりねにぎしりとならしかごまくら
あじさいの降らず照らずや空の色 あじさいのふらずてらずやそらのいろ 久しぶりに「ふたり句会」、徹夜明けの朝詠み。 手足伸ぶひとに言えない朝寝かな てあしのぶひとにいえないあさねかな 夫ならぬひと駅に居て夏至の朝 つまならぬひとえきにいてげしのあ…
花粉病みて次は目を病む五月かな はなやみてつぎはめをやむさつきかな そのまんま。 夏めくや手持ち無沙汰のカーディガン なつやくやてもちぶさたのカーディガン にわかあめ濡れていいわと花ざくろ にわかあめぬれていいわとはなざくろ どれだけスランプなん…
春惜しむようにコートを抱いている はるおしむようにコートをだいている 【推敲】惜しむように春コートを抱いている 去り難いほどだったかな春の雨 さりがたいほどだったかなはるのあめ 煙草に雨じっとしている遅日かな たばこにあめじっとしているちじつか…
受胎せぬ腹出してをり朝寝かな 句会にて御大どもより総スカンを喰らう、の句。 しゃぼんだま橋の上へと二歩、三歩 しゃぼんだまはしのうえへとにほ、さんぽ 「師へ」と但書きはしたものの。
目に映る風のやうにも初燕 めにうつるかぜのようにもはつつばめ 目覚めても目覚めぬふりで夏霞 めざめてもめざめぬふりでなつがすみ まさに春眠。 春尽くや我が意のままに粘土揉む はるつくやわがいのままにねんどもむ 菊練り、ですね。
またひとつ忌日の増えて五月かな またひとついみびのふえてさつきかな Dedicated to 忌野清志郎さま。R.I.P.
物理学落として春のドーナッツ ぶつりがくおとしてはるのドーナッツ 「若々しさ」と「絶望」と。 にぎやかに咲くふりーじあ母ひとり にぎやかにさくふりーじあははひとり いや、父も、いるんだけどサ。 八十八夜横に伸びゆく眠気かな はちじゅうはちやよこに…
ルーヴルの絵と列びたり春疾風 ルーヴルのえとならびたりはるはやて もうご覧になりまして? 春眠や透けてゐるかのやうな朝 しゅんみんやすけているかのようなあさ 最近、また旧仮名遣いに戻しましたケド。 子を持たぬまま生きて良し紙風船 こをもたぬままい…