ひとり句会:夏

しあわせはプールの底に眠る夢
しあわせはプールのそこにねむるゆめ


紅さす指ジンジン痛め鬼灯市
べにさすゆびジンジンいためほおづきいち


白南風やきみの胸から風生まる
しろはえやきみのむねからかぜうまる


茨の花眠るに惜しき倫理あり
ばらのはなねむるにおしきりんりあり


劣情と折り合いつけて梅雨明くる
れつじょうとおりあいつけてつゆあくる


籠枕投げる相手が今日も居て
かごまくらなげるあいてがきょうもいて


鰻喰う男は男となりぬべく
うなぎくうおとこはおとことなりぬべく


現世のつつしみ深く打ち水
うつしよのつつしみふかくうちみずす


冷房に寝て一晩の死者となり
れいぼうにねてひとばんのししゃとなり