ひとり句会:夏

半袖に氷あんずの日となりぬ
はんそでにこおりあんずのひとなりぬ


黄金比をさくりと箸で冷や奴
おうごんひをさくりとはしでひややっこ



夜半の月音して寂し冷蔵庫
よわのつきおとしてさびしれいぞうこ



いま恋はアスパラガスを茹でており
いまこいはアスパラガスをゆでており



おんな等の嘘・罪・涙・ソーダ
おんならのうそ・つみ・なみだ・ソーダすい



天瓜粉をまぶさるる子や祭礼日
てんかふんをまぶさるるこやさいれいび



恋人はトマト炒める世代なり
こいびとはトマトいためるせだいなり
「トマト炒めるの?!卵とォ?エーッ?!」って叫ぶな恋人よ。



細き指で水茄子割くや新所帯
ほそきゆびでみずなすさくやしんしょたい



夏葬儀くちびる重きビールかな
なつそうぎくちびるおもきビールかな
【推敲】夏葬送くちびる重きビールかな



トルストイ読む傍らで寝冷えして
トルストイよむかたわらでねびえして



逝くひとに放ちたる火や夕薄暑
ゆくひとにはなちたるひやゆうはくしょ