ひとり句会:夏

洗い髪の芯やわらかく風孕み
あらいがみのしんやわらかくかぜはらみ


蚊帳張るや恋に結界ある如く
かやはるやこいにけっかいあるごとく


蚊帳の中月の寝顔はうすみどり
かやのなかつきのねがおはうすみどり


きみが五十の身を置き去りし蚊帳の中
きみがごじゅうのみをおきざりしかやのなか
淋しいねぇ〜ひとり寝は!ね!


蚊遣火のはぜる音して夜半ひとり
かやりびのはぜるおとしてやわひとり


遠雷を呼んでみたさの恋の雨
えんらいをよんでみたさのこいのあめ
「濡れてみたさの春の雨」ですね。


遠雷や幼な言葉で寝覚めたり
えんらいやおさなことばでねざめたり


手のひらでかくす指輪や雷雨せり
てのひらでかくすゆびわやらいうせり


ひっそりと枇杷買う蒲田商店街
ひっそりとびわかうかまたしょうてんがい
10コ200円でした。あんまり美味しくなかった……。


豆飯を炊いてほとほときみ待てり
まめめしをたいてほとほときみをまてり


水無月寡婦の如くに炊事せり
みなづきやかふのごとくにすいじせり


女一人穴子天蕎麦午後驟雨
おんなひとりあなごてんそばごごしゅうう