ひとり句会:春

惜春や葡萄酒色の夜の涯
せきしゅんやぶどうしゅいろのよるのはて


きみの顔の黒子も好きで春の夜
きみのかおのほくろもすきではるのよる
あんまり数えると増えるからヤメレ。


口喧嘩ボードの乾き春波荒る
くちげんかぼーどのかわきしゅんぱある


その恋に助太刀致す春疾風
そのこいにすけだちいたすはるしっぷう
あははははそれじゃ青春時代劇だ。


つちふるや瞑目の闇暖かく
つちふるやめいもくのやみあたたかく


春の海シーラカンスの憂き恋路
はるのうみしーらかんすのうきこいじ
【推敲】春の海ナガスクジラの憂き潮路


しゃぼん玉去年より伸びん吾子の脚
しゃびんだまこぞよりのびんあこのあし
わたしの子じゃないぞ。


余らぬよう余らせぬよう花辛夷
あまらぬようあまらせぬようはなこぶし


自愛深く春光に耳朶透けさせる
じあいふかくしゅんこうにじだすけさせる


いま一枚脱ぎゆく春の膝頭
いまいちまいぬぎゆくはるのひざがしら