ひとり句会:春

洗濯はまだ素手ならん春の水
せんたくはまだすでならんはるのみず
浮気句会にて。我が家は未だに2槽式の洗濯機ですから。


さえずりの途絶えてひとり山の径
さえずりのとだえてひとりやまのみち
浮気句会にて。


猫よけて炬燵かたづくお昼前
ねこよけてこたつからづくおひるまえ
浮気句会にて(選外)。


永き日の各駅停車由比ヶ浜
ながきひのかくえきていしゃゆいがはま


長閑さや波乗りの波数えおり
のどかさやななみのりのなみかぞえおり
それを見てるのが好きなのだねぇ。


ノラ抱いて日向くささの花見かな
のらだいてになたくささのはなみかな


塩漬けの葉はどう?食べる?桜餅
しおづけのははどう?たべる?さくらもち


老いてなお乙女を慕い桜餅
おいてなおおとめをしたいさくらもち


薄暮に帰り支度の初音かな
うすぐれにかえりじたくのはつねかな
もう暮れよう、というところで一声啼いて去るウグイス。


朝寝して昼間の月に笑われし
あさねしてひるまのつきにわらわれし


春泥や裾の長いを気に病んで
しゅんでいやすそのながいをきにやんで


春泥をちいさき靴は飛び惑い
しゅんでいをちいさきくつはとびまどい


くちびるを差し出す顔や春の闇
くちびるをさしだすかおやはるのやみ


こことここここからあそこ春の波
こことここここからあそこはるのなみ


春愁や東京タワー小憎らし
しゅんじゅうやとうきょうたわーこにくらし
憂い日は何見ても小憎らしいの。


律儀やな去年の軒端のつばくらめ
りちぎやなこぞののきばのつばくらめ


シネスコの画角のままに春深し
しねすこのがかくのままにはるふかし


花見果てこころおきなく風邪をひき
はなみはてこころおきなくかぜをひき


北国の冷え匂い立つリラの花
ほっこくのひえにおいたつりたのはな