ひとり句会:春

おおらかやはためく御襁褓山笑う
おおらかやはためくおむつやまわらう
ビバ!布オムツ!


声かけて散り散りとなる桜かな
こえかけてちりぢりとなるさくらかな


けさ咲いてあす散りそめぬ桜かな
けささいてあすちりそめぬさくらかな


嫁入りては静かなるかな万愚節
かいりてはしずかなるかなばんぐせつ


万愚節今日ほどの嘘日々にあり
ばんぐせつきょうほどのうそひびにあり
まったくまったく。


犬吼えぬさびしき午後や春の雨
いぬほえぬさびしきごごやはるのあめ


花は花千六百句の散る如し
はなははなせんろっぴゃっくのちるごとし
西鶴は一晩で千六百句ですって。スゲー。


真昼時護岸の守の春うらら
まひるどきごがんのもりのはるうらら


おさな児は花の骸を集め居り
おさなごははなのむくろをあつめおり


浅草に鯛買いにゆく四月馬鹿
あさくさにたいかいにゆくしがつばか


恋を病み気づかぬふりの四月馬鹿
こいをやみきづかぬふりのしばつばか


一握の塩目の敵菜の花や
いちあくのしおめのかたきなのはなや


サバランの甘さにしみる春の夜
さばらんのあまさにしみるはるのよる
サバランを知っているかい?


現にも愛したもうな胡蝶をや
うつつにもあいしたもうなこちょうをや


恐ろしき声色真似ん恋の猫
おそろしきこわいろまねんこいのねこ


今し方障子を開けて辛夷落つ
いましがたしょうじをあけてこぶしおつ


破船にも乱反射せり春の水
はせんにもらんはんしゃせりはるのみず


甘え声猫のようにも春の風邪
あまえごえねこのようにもはるのかぜ