手の中で砕けてしまえ去年の蝉
てのなかでくだけてしまえこぞのせみ
夏服に冷えた乳房を押し込めり
なつふくにひえたちぶさをおしこめり
夏草にくるぶし沈む土手の午
なつくさにくるぶししずむどてのひる
【推敲】夏草にくるぶしすすぐ土手の午
寝覚めても寝言のようだ夏の風邪
ねざめてもねごとのようだなつのかぜ
会うたびに息詰めあって風灼くる
あうたびいにいきつめあってかぜやくる
別れても入谷に朝顔買いにゆく
わかれてもいりやにあさがおかいにゆく
くちびるが思い出しつつ枇杷食めり
くちびつがおもいだしつつびわはめり