ひとり句会:夏

言い訳のひとつもなくて籠枕
いいわけのひとつもなくてかごまくら


打ち笑い風に揺れおり芥子の花
うちわらいかぜにゆれおりけしのはな


会話止みアイスコーヒーぬるくなり
かいわやみアイスコーヒーぬるくなり


目に青葉透けても見えぬこころかな
めにあおばすけてもみえぬこころかな


さくらんぼきみのくちびるぬれていて
さくらんぼきみのくちびるぬれていて


夏めくやスカートの裾光る膝
なつめくやスカートのすそひかるひざ


病床のきみの足首にも夏来る
びょうしょうのきみのあしくびにもなつきたる
「リハビリ・シリーズ」今後も続きます。


夏の波立てば崩れる夢ばかり
なつのなみたてばくずれるゆめばかり


たとう紙開いて閉じて白絣
たとうがみひらいてとじてしろがすり


髪洗う目は開けたまま脚吊られ
かみあらうめはあけたままあしつられ
「リハビリ・シリーズ」。


窓枠のかたちのままの夏木立
まどわくのかたちのままのなつこだち


銀座好きひとりが好きで昼麦酒
ぎんざすきひとりがすきでひるビール
魅惑の昼ビール、浅草なら「神谷バー」、銀座なら「ライオン」。


ぬるくなるジョッキの麦酒初夏の恋
ぬるくなるジョッキのビールしょかのこい


立つ波のうすら寒さのへの字かな
たつなみのうすらさむさのへのじかな
「への字」は鎌倉にあります……あれ?季語がない?