結構孤閨《#hitori_kukai まとめ》

 
一塊の女となりて髪洗ふ
いつかいのおんなとなりてかみあらう

銭湯の屋根の見へぬ満月(無果月)


夜濯や天気予報と睨めつこ
よすすぎやてんきよほうとにらめつこ


花石榴音立てて堕つ花のまま
はなざくろおとたてておつはなのまま


後生楽切らるるままに鱧の骨
ごしようらくきらるるままにはものほね


昼寝して何ぞ損した気分かな
ひるねしてなんぞそんしたきぶんかな


昼路地の犬の昼寝を跨ぎをり
ひるろじのいぬのひるねをまたぎおり


秋暑し序曲「嫉妬」の大音量
あきあつしじょきょく「しつと」のだいおんりよう


夜静か鎮咳去痰星流る
よるしずかちんがいきょたんほしながる

後期高齢恋のたて引(春牛)

浮気句会

画用紙に滴る金や稲穂波
がようしにしたたるきんやいなほなみ


改札を飛び出してきて初時雨
かいさつをとびだしてきてはつしぐれ


茶の花や婆呼びにくる婆の声
ちゃのはなやばばよびにくるばばのこえ



これが茶の花。さすがツバキ科、なヴィジュアルですな。

浮気句会

干柿や母の小言のまた途切れ
ほしがきやははのこごとのまたとぎれ


月の雨ぽつりと昔話かな
つきのあめぽつりとむかしばなしかな


秋暑し鳩と木陰を分け合へり
あきあつしはととひかげをわけあえり

浮気句会

秋の蚊やふらと来てまたふらと去ぬ
あきのかやふらときてまたふらといぬ


無花果の熟れる如くに恋をせり
いちじくのうれるごとくにこいをせり


グラス干しつ骨焼けるまでの一時間
グラスほしつほねやけるまでのいちじかん

浮気句会

秋暑し誕生石はみどり色
あきあつしたんじょうせきはみどりいろ


桃食つて何かに後ろめたきかな
ももくってなにかにうしろめたきかな


人体の沸点近し残暑かな
じんたいのふってんちかしざんしょかな
要再考。